君の他に何もいらない

燃えろよ燃えろよ 世間よ燃えろ

あすかなの虚

※以下、「あすかな」の中の人の話に触れています。

 

 

久しぶりのあすかなの配信が終わった。1時間ずっと笑っていた。数日前、今日配信があると聞いて「どうやってやるの?」「大丈夫なの?」と思っていたけど、オタクのそんな心配は杞憂に終わった。今日もあすかなは同じ家で過ごしていて、隣の部屋から配信していた。配信のときだけソーシャルディスタンス? 君ら一緒に料理してるし一緒にご飯食べてるのに…とは思ったけど何も言うまい…。かわいければそれでええねん…。

 

あすかなは日常を共に過ごしているので、姫ピメの知らない二人だけの話がたくさんある。お互いしか見られない姿がたくさんある。姫ピメたちに話すまでもない些細な日常もきっとたくさんある。でもこの愚かなオタクは、ふとしたとき、二人が暮らす家が、二人が過ごす日常が、全て存在しないものであることを思い出して、不思議な気分になる。

星空は毎日飛鳥を起こしちゃいないし、二人だけで囲む食卓も、飛鳥のために作られたご飯もない。すべてよく練られた設定である。普段も大概ない話ではあるけど、この自粛期間に改めて実感してしまった。隠し撮りもご飯の手伝いも勝手に借りられたスマホもない。星空の誕生日で開く飛鳥のスマホも、2人でテレビを見る時間も、夕飯のハンバーグも星空が作ったレモンティーも隣の部屋から聞こえてくる拍手も、お互い家にいる大橋和也藤原丈一郎(とスタッフ)が考えて違和感がないように組まれた虚に過ぎない。存在しない話をさも存在するかのように話す二人を見て、全て存在しない、作り上げられたものなのだと思って、少し切なくなった。

 

あすかなは、よく設定を練っている。合わない辻褄はない(ド新規ゆえ全てを追えている訳では無いので、過去には辻褄が合わなかった瞬間があったかもしれないけど、少なくとも新規のオタクにはそれは伝わらない)。あすかなの話す日常が虚であることを考えてしまったオタクが、少し切なくなった次に思い浮かべたのは、設定を練る丈橋の姿だった。

一言一句決まった台本も無ければ、時には想定していないことが流れてくるだろうコメントにも対応しないといけない生配信。それをするとなると、ただ演技をするのとは比べ物にならないくらいの打ち合わせの時間が必要なのではないか。どこまで丈橋でどこからあすかななのかな。もしかして丈橋の日常からも、あすかなの日常は生まれてるのかもしれない。練られた設定の裏側に思いを馳せると、練られた設定ごと、あすかなと丈橋が愛おしくなった。

 

そもそも中の人ネタというものが好きで、何回かに一回は弱虫たちの世界征服を聴きながら丈橋の顔を思い浮かべてしまうし、星空が丈くんと連呼してしまった回は何回も聞き返しているし(オタクのコメントも面白くて大好き)、今日の配信だって家にいたからか久々だからか星空と一緒だったからか分からないけど飛鳥がめちゃくちゃ藤原丈一郎で嬉しくなってしまった。わたしはあすかなを通して丈橋を見ているし、丈橋を通してあすかなを見ている。

いつかオタクに、あすかなの裏側を見せてはくれないだろうか。丈橋のあすかなへのスタンスが、あすかなになっているときの二人の顔が、一度でいいから見てみたい。丈橋にとってのあすかなを知りたい。こんなことを言っているうちは、まだ姫は名乗れないかもしれない。